正しい文章を作れる力というのは、世の中を生きていく上で必須な能力であると日々感じる。
特に、贈る言葉の相手と自分との距離が遠ければ遠いほど、丁寧でかつ簡潔な文章が求められる。
先日、大学時代の友人からLINEを貰ったのだが、改めて上記の大切さを気付かされた。
自分の戒めも含めて、自己中な男のLINEを分析する。
結婚式のお誘いのLINEである。
通常の文脈で考えたら、友人の結婚というひとつの幸せは素晴らしいことだ。
中のいい友人であれば、心の底から祝福したくなるはずなのだが、この文章を見ても全くその気持ちが湧いてこない。
その違和感を少しづつ掘り下げていく。
前提として、僕はこの結婚くんとの関係を説明しておく。
たまたま所属していたサークルが同じだっただけの関係でそれ以上でもそれ以下でもない。
もちろん、サシで遊んだこともなければ酒を飲んだことも無い。
そして、このLINEは5年以上ぶりに届いた。
さて、前提を踏まえつつ赤ペンを入れていこうか。
まず、後半の文章に注目して欲しい。
こいつは僕に招待状を送りたいと申している。
招待状を送るために僕の本名と住所を聞こうとしているわけだ。
実はこれ、めっちゃ失礼。
住所に関しては、かなりの頻度で引越ししているから仕方ないとしよう。
だが、名前を聞くのは如何なものか。
サークルの卒業者名簿に検索を掛ければ出てくるだろうし、今まで1回位はサークル関係で僕の本名を曝け出すことはあったはずだ。
100歩譲って僕の名前がわからなくてもいいわ。
そもそも彼がやろうとしていることは、名前のわからない友達を自分の結婚式に呼ぼうとするということだ。
結婚式とは、両家の親族が参列する古臭い儀式だ。
その神聖な場に、本名もわからない友人(仮)を招待するなど正気の沙汰ではない。
この文脈で忘れてはならない要点がある。
僕が結婚くんの結婚式に行くことが前提になっているということだ。
いやいや、考える猶予もねえのかよ鬼畜か。
受け手の気持ちを忖度する気配がない強気な文章である。
結婚式当日の予定は空いていて、結婚式よりも優先順位が回ってくる可能性もゼロで、僕の結婚式参加の意志は問わない。
お願いというよりは押し付けでありますな。
その上、会場の詳細が書かれていない。
スケジュールもそうなのだが、そもそも行けるか行けないかの判断材料として場所や時間は大切な情報だ。
片田舎で催されるのであれば、車を持たない僕は会場までの導線を確保しなければならない。
朝イチ始まりであるならば前日入りすることも念頭に入れなければならない。
おそらく彼はここまで考えていないだろう。
正直、結婚に招待されている気がしないのだ。
彼が僕に突然ラインを送ってきた理由は、間違いなく彼にメリットがあるからだ。
その理由はおそらくカネである。
実は、やろうと思えば結婚式で小銭稼ぎができる。
まず、費用の想定。
ラインの文面をご覧いただくとわかるように、おそらく結婚くんはウェディングプランナーを通さずに挙式を執り行うはずだ。
であるからに、費用は全然掛かっていないと予想できる。
また、遠方からお越しの参加者に対して、交通費を別途お返しすることも通例となっている。
しかし、この交通費は相場は全く決まっていない。
肌感覚で決める人が多いため、ガッツリ削ることも可能だ。
次に収入。
挙式する際の収入の柱として、祝儀がある。
これは交通費と異なり相場がある。
最低30,000円である。
つまり、少なくとも収入が以下の式で見積もることができる。
収益 = 30,000 × 参加人数
その収支で小銭稼ぎをするために僕を呼んでいる可能性がある。
こんなことを考える僕は人としてクソだと思うし、ご想像の通り友達も少ない。
だが、全く関係ない。
なぜなら、僕が結婚くんとの関係を大切にしたところで、利害関係が一致しないからだ。
彼と絡むことによって、女の子にモテることはないだろうし、カネ持ちに慣れるかと言われれば絶対に違うからだ。
あのライン一通だけでもわかることがある。
結婚くんが僕からカネを毟り取ろうとしているかどうかはわからない。
だが、僕はあんなラインを送ってしまうような人とは本当に関わりたくない。
結婚式当日、僕が30,000円以上を払って式に参加するか、家で300円の本を読むか。
両方を天秤にかけた時、圧倒的に後者のほうが僕の人生を豊かにできると思った。
明日も更新するから、待っててちょ。
Adios.