世の中には多くのミステリーフィクションの作品が溢れている。
読者様の中でも、その結末を予想できなかったタイトルはどれほどあるだろうか。
僕にとってもこの作品は、衝撃的なラストをもたらしてくれたタイトルの一つである。
期待を裏切られると言うよりは、本当に結末が読めないタイプの映画である。
被害者も容疑者も共に命を落としてしまい、迷宮入りしてしまいそうな事件。
捜査を進める警察としても、リソースをこの案件に注ぎたくないのは確かだろう。
その中で一つ一つパズルを埋めていく男と、事件の裏に潜んでいるドラマが見どころである。
映画・『麒麟の翼』について、語る。
映画の尺としては129分。
なかなかのボリュームである。
昔ながらの我が身一つで現場を歩き回って、事情聴取や現場検証を行うスタイル。
地に足を慣らして地元の方と密なコミュニケーションをとるのは、新参者シリーズの主人公である加賀恭一郎である。
シリーズとあるだけに、ストーリー的には当映画はドラマの延長線上の話に当たる。
また、原作は東野圭吾氏とあるだけで箔が付いており、濃い内容になっている。
※プライム会員なら、無料で視聴することができる。(2018年10月23日現在)
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あらすじとしては、東京・日本橋の翼の生えたキリン像付近で中年のおじさん(青柳)が倒れ、死亡する。
その青柳が刺されたと思われる現場で、被害者の鞄を引ったくる若者(冬樹)の目撃情報が。
近くを通りかかった警官が身柄を拘束しようとするも、容疑者・冬樹は逃走を試みる。
しかし、逃走するも冬樹は不意な交通事故で亡くなってしまう。
容疑者も被害者もこの世か消えてしまい、t事実上迷宮入りするように見えた事件ではあるが、解決に立ち上がる刑事が一人。
加賀恭一郎。
彼とその従兄弟の刑事、松宮が事件の解決に尽力していく。
一家の大黒柱の父親が、ある日突然居なくなる。
特に青柳一家のような、日常的に家族間で団欒の時間が無いような家庭は、日本に少なくないのではないのだろうか。
この映画を見て衝撃的だったことの一つは、実際に仲が良かろうが、そうでなかろうが、一家の大黒柱という象徴が居なくなった途端に家族のバランスが揺らぐということである。
母親は悲しみに暮れる暇もなく、子どもたちのメンタルケアを強いられる。
まだ家族内だけの悲しみをコントロールするだけならマシだったのだが、もっと最悪なことが起こる。
それは、亡くなった青柳に事実無根の汚名を着せられてしまったことだ。
青柳はものづくり企業の上層部の管理職として勤めており、派遣社員を多く受け入れていたそうで、労働災害隠しと呼ばれる隠蔽が行われていた。
その汚名をマスメディアが世間に公表し、青柳の子どもたちが学校でバッシングを受ける。
そして青柳の中学生の娘は、精神的なストレスお限界を迎え、手首をリストカットする自傷行為をしてしまう。
たった1つの事件で家族がここまで崩壊してしまうことが、他人事には思えないほどリアルである。
刑事・加賀がこの事件について不可解だと思った点の一つとして、青柳の死に様が挙げられる。
理由は、瀕死の状態にもかかわらず、とある場所に向かって歩みを止めなかったからだ。
その場所こそがこの映画のタイトルにも由来し、日本橋に聳え立つ翼の生えた麒麟像である。
この麒麟像には、以下のような願いが込められている。
日本橋は五街道の起点であることから、「ここから羽ばたく」という意味を込め橋の中央に大きな翼を持った麒麟の像が設置されている。
「麒麟の翼」とはこの麒麟像を示すもので、物語における重要な意味をあらわしている。
つまり、何かの信念や祈りを果たすために、自らの命を削りながら麒麟像を目指していた。
この行動こそが、当作品で最もグッとくるポイントの一つである。
祈りを捧げることは、昔からよくやってきた。
初詣のお祈りもそうだし、お盆の墓参りでもそうだ。
自分の力ではどうすることもできないようなことに関して、行うものだと僕は思っている。
それがいいとも、悪いとも思っていない。
ただ、祈ることしかできないようなことも、世の中にはあるのだと学んだ話でもあった。
様々な伏線がすべて収束する時、きっとこれを見る読者様は心を打たれるだろう。
明日も更新するから、待っててちょ。
Adios.
※プライム会員なら、無料で視聴することができる。(2018年10月23日現在)
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